今日私達の日常生活は、様々な商品やサービスに囲まれ、豊かで非常に便利になっています。これら商品のサービス・販売・物流を見る時、そこには必ず包装と容器が関与しています。裸の商品は考えられず、包装容器を抜きにして、現在の豊かな社会生活や物流経済の発展は無かったと言っても過言ではないでしょう!
包装の包の字は胎児が母親の胎内に大切に育まれている形から考えられたと言われている通り、大切なものを
容器は大切な物を入れて封をして大事に守るうつわ となります。
人が健全に生きる上で必要な物が食糧と医薬品であることは古今東西変りません。包装容器の誕生は、人類が集団で組織的な社会生活を営み始めた頃にさかのぼります。人々を飢餓から守り社会生活を維持する上で、食糧の保管貯蔵と分配(小分け、運搬輸送)の必要性が高まってきました。 正に食品の包装は包装容器の生みの親、包装容器産業の母と言えます。
当初の包装容器は木の葉、石器など身近な天然の素材が利用されていました。人類誕生以来10万年の中の1万5千年〜1万年前にはじまった、縄文時代の出来事です。
石斧、石鍬、石皿、石器などが使用されていた石器時代に代る、人類の新たな文明の一つとも言える“土器”の発明です。組織的社会体制維持のため、食糧や酒類の保存や交易を始め各種神事や宗教行事に土器が広く利用されたことは多くの史実から明らかです。
BC1400年頃から人類文化発祥のメソポタミアではワインが、またエジプトではビールが醸造され、貯蔵容器として土器(ツボ)・木製の樽・皮袋などが使われていたことや、その後これら容器詰めのワインがギリシャから輸出されていたことなどが知られています。
また日本でも、縄文時代から食品の加熱調理や貯蔵運搬に木の葉、竹の皮、竹筒と共に縄目の模様入りの土器が使用されています。
弥生時代(BC1000年からAC300年)以降には、より高温で焼いた素焼きの土器が酒類など液体用の容器として利用されています。
その後古代から中世・近代前半へと時代の流れに伴い、世界の食品用包装容器は陶磁器から青銅・鉄器・ガラス製品へと進化してきました。
食品用包装容器が近代産業の一つとして技術的に確立されたのは、密封・殺菌・保存が可能な包装容器として、缶詰やびん詰技術が開発された210年ほど前のとても最近の事 なのです。
そこには、調理・殺菌方法などの食品加工技術の開発と、密封・殺菌可能な包装容器などの包装技術開発、そのニ者間での絶妙なコラボレーションが存在したことを、忘れることはできません。
わが国はもちろん、世界の包装容器製造技術並びに、食品加工技術の今日の発展は、缶・びん詰製造技術を除いて語ることはできません。
技術・産業の両面からみても、缶・びん詰技術は、近代包装容器技術や食品加工技術の生みの親であり育ての親と言えます。
缶詰・びんは誕生以来、近代的包装容器として技術的、産業的にも目覚しい発展を遂げてきました。
しかし、昨今市場に見られ包装容器の多様化と百花繚乱の賑わいは、第二次大戦後の技術革新により開発された合成樹脂が容器用素材として活用され始めてからのことです。
開発された合成樹脂塗料により、金属容器の性能は缶内外面共に飛躍的に向上し、その販売量を拡大させました。また各種合成樹脂によるプラスチック成形容器やフィルム包装などが出現し食品包装容器の市場は今日の隆盛をきわめたのです。
参考:「暮らしの包装」(社)日本包装技術協会
文: 元大和製罐株式会社総合研究所長 長澤善雄

