容器の種類は、その機能、形状、用途、素材別など色々な面から分類する事が出来ますが、最も基本的な分類は容器の生い立ち・科学技術の発展史・容器産業の全体像の把握などから見て、容器の製造に使用される材料別分類が妥当と思われます。日本の包装産業の規模と現状や最近の傾向などを展望するため、包装資材・容器別金額を【表1】に掲げます。
| 【表1】包装資材・容器の原料別出荷金額 | 単位:億円 |
| 材料別 | 1996年 | 2001年 | 2006年推定 | |||||||
| 構成比 | 構成比 | 96年比 | 構成比 | 前年比 | 01年比 | 96年比 | ||||
| 紙・板紙製品 | 28.050 | 41% | 25.120 | 43% | 90% | 24.620 | 41% | 100% | 98% | 88% |
| プラスチック製品 | 15.150 | 22% | 13.910 | 24% | 92% | 17.440 | 29% | 104% | 125% | 115% |
| 金属製品 | 15.230 | 22% | 11.570 | 20% | 76% | 10.330 | 17% | 97% | 89% | 68% |
| ガラス製品 | 2.240 | 3% | 1.720 | 3% | 77% | 1.400 | 2% | 96% | 81% | 63% |
| 木製品 | 3.200 | 5% | 2.060 | 4% | 64% | 1.550 | 3% | 97% | 75% | 48% |
| その他 | 4.180 | 6% | 4.340 | 7% | 104% | 4.300 | 7% | 102% | 99% | 103% |
| 総合計 | 68.050 | 100% | 58.720 | 100% | 86% | 59.640 | 100% | 101% | 102% | 88% |
包装資材の出荷量・金額の総額は、平成 3 年(1991)から平成 8 年(1996)に至る 5 年間微小の変動は見られるものの、最も多く、容器産業の円熟期とも言えます。その後は、省資源、省エネ、コスト・セ-ブなどの社会情勢の変化に対応してプラスチック製品を除き微減傾向にあることが判ります。
なお、プラスチック製品のみが逆に微増傾向にある要因には清涼飲料用小型ペットボトルの使用に関する自主規制の解除による用途拡大の影響の大きいことが伺えます。
包装資材別出荷量から、紙、プラスチック、金属、ガラス、木材、その他の順になりますが、これら各資材の全てが食品容器として使用されている訳ではありません。私達の食生活を豊かに快適なものにしてくれた包装食品、特に食品を直接包装して保護する個装容器、即ち私達にとって最も身近な食品容器の立場から眺めると、その重要性もまた違ったものになります。
紙製品の生産量は多いですが、その用途は段ボール箱・包装用紙など外装包装用資材として利用されており、食品包装容器としては紙容器の約4%が乳製品やジュース・スープなどの容器に使用されているに過ぎません。
プラスチック製品では、中空成形容器・ラミネート軟質製品並びにフィルムシートなどの約1割強が、飲料・食油・調味料などペットボトルに代表される各種容器やレトルトパウチや菓子類などフィルム包装食品容器に利用されています。
金属製品では、スチール製品の約4割がドラム缶や5ガロン缶として工業用に利用されており、スチ-ル、アルミニウム製品の約6割が食品缶詰・飲料用缶に使用されています。アルミ箔製品もプラスチックフィルムなどのラミネ-ト包装容器として広く使用されています。
ガラス製品は、ビール、酒類などの飲料用容器として伝統的に広く利用されている他、調味料・ジャム・加工食品用容器として古くから広く利用されています。木製品は、紙製品と同様に外装容器として広く利用されていますが、食品用個装容器としての利用は現在の所極めて希です。従って、包装資材の種類別食品容器の出荷量(トン数)の高い順に見ると、金属容器とガラス容器がその王座を懸けて並び競っており、次いでプラスチック容器、紙容器の順に広く利用されている事が判ります。
図1. 素材別容器食品用比率 (2005年重量による比率)
今日の豊かな食生活を支えている食品包装容器について、各種素材別食品容器の特徴と種類を数回に渡り概説します。なお、特徴については各種容器の持つ、優れた特性と同時に抱えるデメリットや問題点について要約して参考に供したいと思います。
食品包装用金属容器と言えば缶詰です。缶詰は食品の長期保存を食品加工技術と包装技術のコラボレーションにより実現された最も理想的な食品保存技術で、今日の高度な食品包装技術の生みの親とも言えます。缶容器については、後日改めて詳細に解説される予定になっていますので本項では簡単な要約のみに止めておきます。
I 金属容器の一般特性
(1)酸素、水分、光線の透過を完全に遮断するなど、 バリヤー性が高く、内容物の保護性能が高い 。
(2)熱伝導性が良く、 殺菌時の加熱・冷却効率が高い 。
(3)適度に機械的強度が大きくて、加工性が良く、 容器の成形加工性がよい 。
(4)容器製造時の 搬送性や製品輸送時の取り扱い性が良い 。
(5)金属光沢があり、印刷が美しく ディスプレー効果が高い 。
(6)資源的に安定で、 リサイクル性が良い 。
II 金属容器の種類
(1)素材による分類
容器素材別には、 スチール缶 と アルミニウム缶 があります。スチ-ル缶には 鋼板に錫(すず)メッキした ぶりき缶 (果実缶、一般食缶、贈答用美術缶など)や鋼板表面に電極クローム酸処理した ティンフリー・スチール缶 (TFS:コーヒー缶、スープ飲料缶、一般食缶など)があります。アルミニウム缶が食品容器として広く使用され始めたのは第2次大戦後のことで、今日では、ビール缶、炭酸飲料缶、クロージャ(キャップ、蓋)、EOE(イージーオープンエンド)缶蓋など広く大量に利用されています。
(2)成形方法による分類
成形法並びに形状別には、缶胴・缶蓋・缶底の3個のパーツより形成される スリーピース缶 (3P缶:一般食缶、各種飲料缶など)に対し缶底と一体に成形された缶胴と缶蓋の2個のパーツで形成される ツーピース缶 (2P缶:一般食品用角缶、オーバル缶などの浅絞り成形缶とビールなど飲料用深絞りDI(ドロー&アイアニング)缶並びに最近開発されたボトルカンなど)に大別されます。 また、スリーピース缶には、缶胴接合部の接合方法により半田缶、接着缶、溶接缶があります。
(3)内面による分類
缶内面の塗装法により、 内面無塗装缶 (果実缶詰のように蓋・底 は 塗装さ れているが 缶胴内面 は 無塗装の缶)並びに内面塗装缶(魚畜類など一般缶詰・調理缶詰・飲料缶のように缶内面が完全に塗装されている缶)や内面ラミネート缶 (コーヒー飲料、炭酸飲料缶などのように缶内面をプラスチックフィルムで被覆した缶)などがあります。
(4)蓋(ふた)の分類
缶切り不要・手で容易に開けられる缶蓋(ふた): EOE(イージー・オープン・エンド)は金属容器缶の大きな悩みであった開け難いと言う問題を一挙に解決してくれた救世主とも言えます。この技術開発により金属容器の用途は急激に拡大し、各種飲料缶詰をはじめ一般食品缶詰に至るまで広く採用され、金属容器今日の隆盛をもたらした立役者でもあります。
EOEの殆どは柔らかく加工性の優れたアルミニウム材が使用されているが一部にはスチール製のものもあります。また、EOE にはその開口部の大きさにより POE (パーシャル・オープン・エンド:飲料缶など缶蓋の一部分が開口するもの*【写真1】)と FOE (フル・オープン・エンド:一般食缶のように蓋の全面が開口するもの*【写真2】)があります。 また、開缶時に開口部の金属がタブリングと共に外れる プル・タブ式 (開発当初の飲料缶の蓋で、散乱ごみ防止のため現在国内での使用は希)と ステイ・オン・タブ式 (現在広く採用されている開口部が缶内に折れ止まるタイプのエンド:散乱公害防止用)があります。なお、これら各種金属容器の製造法や各種缶容器の特徴をはじめ新技術情報などの詳細に就いては前述の通り後日別途掲載されますので、本項では割愛させて貰います。
【写真1】POE(パーシャル・オープン・エンド)

- ステイ・オン・タブ式

- プル・タブ式
【写真2】FOE(フル・オープン・エンド)
文: 元大和製罐株式会社総合研究所長 長澤善雄


