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日本橋容器大学

容器の種類にどんなのがあるの?(その2)

前回の金属容器に続き、今回はプラスチック容器を解説したいと思います。

プラスチック容器について

第2次大戦後の技術革新、特に石油化学工業の発展により、石油精製過程で分離される成分の合成により各種合成樹脂が誕生し、食品包装容器として利用されたのはごく最近のことです。
プラスチック容器はその特性を生かし、簡易で扱いやすい食品容器として瞬く間に伝統的なガラス容器の地位を奪い、更に食品容器王座の金属缶容器と競合するまでに成長して来ました。

I プラスチック容器の特性

(1)加工性が良く、自由な形の容器が容易に成形できる。
(2)耐衝撃性や機械的強度が適度に強く、割れにくく軽量である。
(3)耐薬品性、耐水性、耐食性が強い。
(4)透明で中身が見え、着色も容易。
(5)素材が比較的に安価。

 
II プラスチック容器の種類

食品包装用のプラスチック容器はその形状から
(1)フィルム包装容器(パウチ)
(2)チューブや絞り出し容器
(3)プラスチック・ボトル容器
に大別されます。
また、容器の柔軟性並びに素材構成より、
(1)フィルム包装容器はFlexible Container(柔軟容器)とも呼ばれます。単層フィルムまたは複合ラミネート・フィルムのパウチの2種類があり、自立可能であれば、Standing Pauch(スタンディングパウチ)とも呼ばれます。【写真1】

(2)チューブや絞り出し容器(マヨネーズ容器等)はSemi Rigid Container(半剛性容器)とも呼ばれ、素材構成は単層または多層フィルムになります。【写真2】
(3)飲料・調味料・化粧品などに利用されているプラスチック・ボトル容器はRigid Container(剛性容器)とも呼ばれ、素材構成から単層ボトル、多層ボトル、皮膜処理ボトルなどが含まれます。また、カップやトレー、プラスチック缶などの容器も剛性容器に含まれます。【写真3】 主な食品のプラスチック容器の材料構成とその特徴
表1 フィルム包装容器の代表例
表2 ボトル製品の代表例

フィルム包装容器(パウチ)
【写真1】フィルム包装容器(パウチ)
プラスチックチューブ
【写真2】プラスチックチューブ
プラスチック・ボトル容器
【写真3】プラスチック・ボトル容器

 

III プラスチック食品包装容器の問題点とその対応技術

前述のとおり、プラスチック容器は加工性、耐衝撃性、耐薬品性など優れた性能を持っていますが、食品容器としての問題点には、金属容器やガラス容器と比較して

(1)ガスバリヤー性が低い
(2)耐熱性が弱い
(3)変形しやすい
(4)耐候性耐劣化性が弱い
(5)帯電性があり汚れやすい

 

などがあります。

これら重要問題を抱えながらプラスチック容器が食品包装容器として、今日の発展を成し遂げた裏には、新技術の開発と共に商品設計時の柔軟な対応があります。例えばあまり長期間のシェルフライフ(賞味期限)などは始めから望まずに、開けやすさや取り扱いやすさなど容器に求められる各種の要求をバランス良く巧みに取り込む柔軟性が、流通社会や消費者に広く受け入れられた事などです。
また、無菌包装や無菌充填法など最新の食品加工技術や充填技術を活用しプラスチック容器の特性を生かしながら用途の拡大に努めると共にリサイクルなど廃棄公害対策にも始めから対応したこともプラスチック容器の伸展に大きく貢献したものと言えましょう。

次に、プラスチック容器の性能アップと用途拡大に貢献した新技術を列挙して見ましょう。

(1)性能の異なる各種の樹脂が開発され、素材選択の自由度が高まり、要求に適した性能を持つ容器の製造が可能になった。例えば PETボトルの誕生など。
(2)ラミネート技術の進歩により積層フィルムや多層ボトルなど高性能の容器用新素材が開発された。

 

例1 接着性・耐透湿に優れているがガスバリヤー性の劣る性質のPE(ポリエチレン)フィルムにガスバリヤーには優れているが耐透湿が劣る性能のセロファンをラミネートする事により両者の欠点をカバーしお互いの長所を発揮した高性能の容器素材の誕生。

例2 適度の厚み(7ミクロン)のアルミ箔をラミネートする事により、ガスバリヤーや耐透湿性が高く、容器の柔軟性や開けやすさ、取り扱いやすさなどの長所を持つバランスの良い性能を備えた容器素材が生まれた。
(3)延伸加工技術(Stretching,Orientation)の開発により、樹脂素材自身のバリヤー性能や機械的性質が向上し変身することが判った。この技術はフィルム、ボトル成形時に、樹脂素材の融点以下の温度で機械的に引き伸ばし(ストレッチ)、樹脂の分子を引っ張り方向に配向(オリエンテイション)させる加工操作で、一方向に引っ張る一軸延伸加工と縦・横二方向に引っ張る二軸延伸加工があります。引き裂きやすいパウチや引っ張り強度の高い荷作り紐などは、延伸方向のフィルムの引っ張り強度は著しく増加するが、延伸方向に直角方向の強度は逆に低下し裂けやすくなる一軸延伸加工技術が利用され製造されています。 また、飲料用PETボトル(透明性が高く、ガスバリヤー性、香気保持性の高い)などは、縦横二方向に延伸加工するとフィルムやボトルのガスバリヤー性や透明性などの諸性能が向上する二軸延伸加工技術が利用されています。その他、シュリンクフィルムの製造にもこの技術は利用されています。
(4)その他ビール用PETボトルのガスバリヤー性向上のために多層ボトルの成形技術やPETボトルの内面にカーボン皮膜を蒸着被服する技術が開発され実用化されるなど、プラスチック容器におけるガスバリヤー性向上への絶え間ない努力が注がれています。

資料提供:藤森工業(株)(パウチ)
文: 元大和製罐株式会社総合研究所長 長澤善雄